上映リクエスト一覧
No Nameさんの上映リクエスト一覧です
| 作品名 | リクエスト回数 | 貢献度ランク |
|---|---|---|
| [上映候補] 野球部員、演劇の舞台に立つ! | 384回 | 136位 |
| [345位] ら・かんぱねら | 48回 | 25位 |
| [25位] しゃぼん玉 | 24回 | 871位 |
"映画館で観たいワケ"投稿履歴
No Nameさんの観たいワケ投稿履歴です
青春時代を肯定的に受け止める気持ちになる作品。
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No Nameさんの上映リクエスト一覧です
| 作品名 | リクエスト回数 | 貢献度ランク |
|---|---|---|
| [上映候補] 野球部員、演劇の舞台に立つ! | 384回 | 136位 |
| [345位] ら・かんぱねら | 48回 | 25位 |
| [25位] しゃぼん玉 | 24回 | 871位 |
No Nameさんの観たいワケ投稿履歴です
青春時代を肯定的に受け止める気持ちになる作品。
▼見終わった後、だれもが、ほのぼのとした気持ちに。 鈴木一美監督の初監督作品だという。 実に滋味豊かで、瑞々しいドラマだ。 中年の海苔漁師さんによる超難題への挑戦と達成、彼をとりまく家族の軋轢と絆、夫婦愛……。 観る人によって、さまざまに受けとめられる奥の深さ。 どのように観たとしても、観終わった後、誰もがほのぼのと明るい気分になっているのではないだろうか。 音楽にもピアノにも縁がなかった佐賀市の海苔漁師さんが、「ラ・カンパネラ」のピアノ名演に出会って感動。一念発起して奮闘し、ついには自分の手でこの超難曲を弾きこなせるようになる……。 話の流れはこの通りなのだが、私はこのドラマを、不器用な大人の男と女の過去、現在、未来にわたるラブ・ストーリーと見る。 主人公とこれを支える妻とは、高校時代に出会って以来の仲なのだから。 主人公は、代々続く海苔漁という過酷な本業の傍ら、妻ら家族に呆れられ反対されながらも、自己流でピアノの稽古にがむしゃらに励む。 このため、ついに手を傷めて仕事に支障をきたしたあげく、妻ら家族と軋轢を引き起こしてしまう。 分別盛りであるはずの男のこの暴走は、いったいなぜなのか……。 「おいも、弾いてみたか!」の言葉の奥に秘めたその思いは……ラスト近くでじわじわと明らかになるのだ。 夫婦、父と子、母と子、祖父と孫、嫁と嫁ぎ先の義父、そして同業の仕事仲間たちとの友情と葛藤……さらに、伝統の地場産業の継承と将来。 鈴木監督は広く目配りしつつ、人間関係の機微を丁寧に描き出していく。 登場人物を眺めながら我々は、このうちの誰かに、いつの間にか共感したり、ちょっと反発したりしているのだ。 つまりは、ドラマに引き込まれている。 いい年をした主人公の無茶、無謀ともいえる挑戦。 突っ張りと頑張りの果てに、家族たちはじわじわと主人公に寄り添うようになっていく。 やがて……新たな絆さえ芽生えてくるのだ。 そこに我々は、「救い」のようなものを目撃して、気持ちがほんのりと温かくなってくる。 そうだ、これはいい大人の男女のラブ・ストーリーであると同時に、「夢」にまつわる家族の再生の物語でもあったのだ。 この映画は、有明海での海苔漁という確固たる地場産業の厳しい現場を見せてくれるだけではない。 海苔漁の舞台である有明海が、季節と時刻の移り変わりにつれ、息をのむほど美しく変化する姿を満喫させてもくれる。 映画とは、見る人の心を和ませる物語であると同時に、心躍る生き生きとした映像をも提示するワンダーランドでもあることを、鈴木監督は「ら・かんぱねら」で実証してくれている。 年齢を重ねた鈴木監督ならではの映画の豊潤な味わい、そして瑞々しい語り口を、同時に満喫できる純な映画を観た。 (了)
2025年09月23日 09:50