劇中劇の「ワレワレノモロモロ」「銀河鉄道の夜」、また黒木華さん演ずる吉岡先生の一人語り「肖像画」が見物です。ももいろクローバーZのみんなを始め、若手女優たちの一生懸命さ、ひたむきさが、また、黒木華のただ者でない感じが演技から伝わります。演劇部のみんなで夜のビル群を見上げるシーンは、自分自身の体験も重なり、何度見ても目頭が熱くなります。きっと誰しも経験してきたモヤモヤやキラキラを象徴する場面がちりばめられています。でもそれはノスタルジーだけではなく、今なおもがきながら過ごしている自分を励ましてくれているような、そんな優しさにあふれた映画なんです。本広監督の原作と演劇への愛、そして演者への温かい眼差しが画面越しに伝わってくるようです。いい映画です、ほんとに。