私はこの映画で主演を務めている高田健志という男が嫌いでした。腫れあがった唇も甲高い笑い声もグズな性格も、その全てを愛おしく思える日が来るなんて、この映画を観るまでは考えられませんでした。あの人気ドラマ半沢直樹でも垣間見ることができた抜群の演技力は真に迫るものがあり、竹内力や哀川翔らかつてのVシネマの帝王からたすきを譲り受ける日も近いでしょう。そして、映画終盤で高田が言い放った「豚はいつまで経っても豚だぜ」。この台詞を聞いたとき、私はある種のエクスタシーを感じ、目からは自然と涙が溢れました。これまでの自分の生き方を見詰め直す大きなキッカケを与えてくれたこの映画をスクリーンでもう一度観たい。高田健志が次はどんな体験を我々にもたらしてくれるのか、とても楽しみです。